リコード糖質制限と甲状腺機能低下
時々、「リコード法で糖質制限すると甲状腺機能低下になりますか?」と質問を受けます。全く同じ質問を少なくとも2回されたので、きっとどこかにそのような記述があるのだろうと思いました。そして、ある方から情報の出どころを教えて頂きました。
大阪のある内科の先生がはっきり書いていました。書かれている内容の大筋は間違っていませんが、やっぱり、、、というか、そこに「リコード法」という記述があるので見逃せません。『リコード法』に関して間違った情報や誤解を与える情報を流してほしくないからです。
まずは、その記述を以下に載せます。
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low T3症候群
(途中 略)
甲状腺機能低下症では、必ずTSHが高値になってきますので、これは甲状腺機能低下症ではありません。
飢餓状態、摂食障害、ダイエットのやりすぎで起こって来ます。
身体がエネルギー不足を関知して、全身の代謝を抑えるために起こる生理的現象です。
さらに重症化すると、T4も低値になってきます。(これをlow T4症候群と言います。)
リコード法での最適値は、TSH 2.0 μlU/mL未満、遊離T3=3.2~4.2pg/mL、リバースT3 20 ng/dL未満、遊離T3(pg/mL)×100/リバースT3(ng/dL)20超、遊離T4=1.3~1.8 ng/dLです。
身体が省エネモードになっているということです。
極端な糖質制限でもlow T3症候群になる場合があります。
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『リコード法』は、低T3を目指すものではありません。リコード法の経過中に、もしも低T3になっているとしたら、それは、行っていることがリコード法ではないか、リコード法を正しく行っていないという事です。
大阪の先生の書かれたものの中にもあるように、リコード法の目標値は遊離T3=3.2~4.2pg/mL、リバースT3 20 ng/dL未満と、決して低い値ではありません。
私の疑問は、なぜ、せっかく低T3の文章を書いているのに、そこにリコード法を持ち出して、さらに遊離T3の文字を太字にしなかったのか、遊離T4の文字を太字にしたのかです。うっかりすると、リコード法を正しく理解してない方は、リコード法では低T3、さらに酷くなって低T4になるのではないかと思ってしまいそうです。この文章を書かれた大阪の先生もリコード法をよくご存じないという事だと思います。
さて、リコード法では、単純糖質を食べない様にします。また野菜や穀類の炭水化物も、体が脂質代謝に順応して血中ケトン体が1.0mmol/Lになるまでは極力避けます。ただし炭水化物のうち、食物繊維は血糖値に影響を与えないことを確認しながら食品から毎日30g摂取するようにします。しかし、これがなかなか難しいです。食物繊維を30g食べようとして根菜類を食べると、食後1時間の血糖値がリコード法の基準値の125mg/dlを越えてしまう事があるからです。そのため、繊維の補充や血糖値の急上昇を防ぐためにサイリウムハスクを必要とすることも多いです。
血糖値の目標値、ケトン体の目標値、の二つしっかり達成するように、食事を組み立てなおすだけでなく、運動や睡眠や、それらのタイミング(今、機能性医学で注目のタイミング医療の要素)も適正化して、概日リズムを整えてホルモンの適正化も図り、適正化に時間がかかりそうな場合やそもそも2型の要素が強い場合は、各種天然ホルモンの投与による調整も行います。各種栄養素の適正化の為に、検査結果を見ながらサプリメントも利用します。また、水銀やカビ毒に代表される代謝や各種細胞活動に負荷をかけている毒素に対する対策や、場合によってはグルタチオン吸入や、DMSA内服などのキレーション治療が必要となる方も多くいらっしゃいます。
リコード法では上記の様に、各種機能が総合して適正に働くようになり、糖代謝や脂質代謝の状態、さらにホルモンやメチル化なども改善されていくのです。
リコード法では、ブレデセン7を生活改善の基本として実践して、追加する形で医療行為(自由診療)も必要とします。
ライフスタイルコーチについて自己流ではなくきちんとブレデセン7を実践して、またリコード法で必要とされている各種バイオマーカー検査を受けて、ブレデセン先生の診断書ともいえるアポロヘルスの個別レポートを得て、そのレポートに忠実にリコード法を行う必要があります。
正しくリコード法を行う事によって、低T3になる事もなく、筋肉の足りない人は筋肉が適正に増え、心血管系の状態も改善していきます。脳に適正な刺激を色々なツールを使って加える事により、シナプスの可塑性も得られるのです。リコード法実践者の多くの人の経過をまとめた論文では、良好な結果が記されていました。