ヨウ素の常識は非常識か

甲状腺機能低下、橋本病、かくれ甲状腺機能低下、下垂体性甲状腺機能低下、LowT3症候群、などなど、『甲状腺機能が不調じゃないか』という状態は呼び名がいろいろあり、それぞれ若干意味合いが違います。これらは、全て、西洋医学的な診断基準に基づいて、主として各種血液検査結果から診断されます。

これを機能性医学的に、紐解いていきたいと思います。リコード法の基礎的分野です。

機能性医学では、健康状態を、身体の機能から考えていきます。機能を損ねる方向に向かわせている原因は何か?を突き止める事から始めます。そして、その原因を解消する方法を実践します。

なぜそのようなことが出来るかわかりますか?それは、栄養だけではないですが、栄養を例にとると、『今現在どの様に栄養素を体にいれているか』、その状態に人体(体も脳も)がけなげにも生存をかけて、適応して変化していくからです。その結果、健康状態、エネルギー、気分、などが良くも悪くも変化しています。その変化を意図的に起こし、アスリートや知的労働者にはハイパーパフォーマンスを、病気の方には根本からの治療を、普通の方にはより快適な毎日を実現するために、調節していこうという医学が、機能性医学なのです。

機能性医学で介入する要素は、栄養、マインド、睡眠、運動、ストレス対処、ホルモン、デトックスなどです。これらは、一つずつ独立しているようでいて、タイミングや、量や、方法によって、それぞれが密接に関連しているので、全体的に介入する方が効果的で、安全です。

さて、本日の甲状腺後ホルモンやヨウ素について、機能性医学ではどう考えたらよいか、ひとつずつ確認していきましょう。

【甲状腺ホルモン】は、チロシンにヨウ素が3~4分子結合したものです。脂溶性ホルモンで、受容体は核にあります。

T3(トリヨードサイロニン)のうち、端っこのヨウ素がとれていてタンパク質とくっついていないものがfreeT3といって活性型の甲状腺ホルモンと思ってください。素直に核内の受容体と結合して、代謝を上昇させるシグナルとなる各種タンパク質を合成します。全身の細胞の核に受容体があります。

ここで、リバースT3についても、知っておきましょう。このrT3は、中ほどのヨウ素が取れたものです。そして、このまんなかのヨウ素が取れたものは、構造上核内の受容体と素直に結合できないため、出来損ないの甲状腺ホルモンという事になります。

この出来損ないになる原因は、慢性炎症、ストレスが多くコルチゾールが沢山分泌されている、セレン・鉄・亜鉛などの必須ミネラルの低下、ビタミンB12やB6やDの低下、睡眠不足などで起こります。

出来損ないを調べるだけでなく、むしろ比率を確認する事が大切です。従って、
freeT3/reverceT3>20
T3/reverceT3>10
が機能性医学的にとても大切な基準値です。測定は、BFLクリニックで行えます。

【甲状腺機能異常の症状】について、確認しておきましょう。一般に甲状腺ホルモンがしっかり機能を果たしているか、機能を果たせていないかは、検査をしなくてもある程度は、エネルギー状態など下記の様子で分かることが多いです。

声が老人の様に低くなりがらがらかすれる⇒機能低下が疑われます。
眉毛の端が薄くなって眉毛が短くなっている・肥満⇒機能低下が疑われます。
冷え性・鬱っぽい・元気がないなどエネルギー不足⇒機能低下が疑われます。
浮腫みっぽい・性ホルモン低下・薄毛⇒機能低下が疑われます。
ブレインフォグ・認知機能低下⇒機能低下が疑われます。

【機能性医学的な治療】は、全ての人に共通するベースの上に個別のアプローチを加えていきます。ベースの概略は以下の通りです。
睡眠⇒睡眠アプリで確認して睡眠時間(ベッド時間ではありません)を7時間以上確保しましょう。
運動⇒快適になるまでは、激しすぎる運動はやめておきましょう。
食事⇒チロシンやヨウ素たっぷりの食事にしましょう。リーキーガットの原因となる、農薬や添加物、グルテン、A1カゼインは避けてください。
ストレス対処⇒呼吸法やサウナで積極的に取り組んでください。
毒を避ける⇒フッ化物はヨウ素の受容体と競合します。フッ素・塩素・臭素を避けてください。市販の食パン・塩素系漂白剤・フッ素入り歯磨き・フッ素コーティングフライパンなどから人体に入ります。

そして、ベースの治療のなかでも、甲状腺機能に関して、重要で忘れてはならないものが
【ヨウ素】です。
甲状腺疾患のある方は、甲状腺専門医から、ヨウ素サプリはもちろんヨウ素の多く含まれている海藻を食べない様に指導されている方も多いのではないでしょうか?そして、その理由は、ヨウ素摂取で甲状腺機能低下を悪化させるからという事になっています。また、亢進症状を悪化させる場合もあるとなっています。

これらは、ヨウ素の常識として、多くの人は疑いもしません。しかし、実は、ヨウ素によって甲状腺機能は低下しないし亢進もしないとしたら、、、、さらにヨウ素不足の結果、甲状腺疾患が治療に抵抗性を示したり、不妊率が上がり、うつ病が増え、乳がんや前立腺がんが増えている可能性があるとしたら、、、、それは、ヨウ素の非常識という事になります。

こちらの本に、詳しく書かれています。
インスタには、2分で読めるように簡単に書いてあるので、時間のない方はそちらを見てください。

【ヨウ素の非常識にとらわれないヨウ素補充】についてやっと書きます。そして、これこそが、機能性医学の個別治療の大切なピースです。

1,ヨウ素負荷試験でヨウ素欠乏のあるなしを調べる。ヨウ素剤50㎎を飲んで、その後24時間でどれだけのヨウ素が尿中に排泄されるかをみます。多く出るという事は、充分足りているという事です。少ししか出ないという事は、身体がどんどん利用しているために、尿中に捨てる量が減っているという事です。90%以上あれば、ヨウ素不足ではないと考えます。BFLクリニックで遠隔診療で行えます。

2,ヨウ素負荷試験の結果、ヨウ素が足りていない場合には、ヨウ素サプリを半年間飲みます。BFLクリニックで遠隔診療で行えます。

3,甲状腺機能低下症状が治療を要するほどある場合には、ヨウ素サプリを飲みながら、天然型の甲状腺ホルモンをごく少量(30mg)追加します。BFLクリニックで遠隔診療で行えます。

(説明)甲状腺ホルモンを摂取すると、全身の細胞の代謝活性が上昇します。それに伴い、ヨウ素そのものの臓器必要量が増えます。とくに、甲状腺、乳腺、前立腺、のような腺組織はヨウ素を他の臓器よりも多く必要としているので、その腺組織の代謝が上昇する前に、ヨウ素を前もって補っておかないと、腺組織のヨウ素不足の症状を悪化させてしまう危険があります。

4,ヨウ素補充でTSHが上昇する事がありますが、甲状腺機能低下症状がなければ、これは甲状腺機能が低下したためではなく、NISの増加のためで、自然にTSHも半年ほどで正常域に戻ってきます。

(説明)ナトリウム/ヨウ化物共輸送体(ナトリウム/ヨウ化物共輸送体(NIS)は、血流からヨウ素を甲状腺組織に取り込むための受容体です。じつは、この受容体は、フッ化物や有機化学物質で阻害される事がわかっています。また、ヨウ素不足の状態では、NISが少なくなっています。そんな時に、ヨウ素の血中濃度が増えると、下垂体は感知して、TSHを放出します。TSHは、甲状腺刺激ホルモンですが、それ以外の働きとして、NISを増やす働きがあります。TSHレベルが5〜30mIU/Lまで上昇することもあります。しかし、慌てないでくださいネ。甲状腺障害の臨床症状がなく、T3とT4レベルが正常であれば、TSHの上昇が甲状腺機能低下症の徴候である可能性は低いことを覚えておいてください。TSHは、甲状腺がヨウ素で飽和した後、減少して基準範囲に戻ります。

 

5,ヨウ素補充による真の甲状腺機能低下のリスクは数千人に1人と、極めて少数です。

【甲状腺ホルモンが適正】になると、気分が良く、エネルギー不足も解消されて、適正体重になり、メンタルも体調も良好になります。適正化は、BFLクリニックの遠隔診療で。