リコード法:新しい治療効果の論文
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.05.10.21256982v1.full.pdf
2021年5月に「Precision Medicine Approach to Alzheimer’s Disease: Successful Proof-of-Concept Trial」
日本語題訳「アルツハイマー病への精密医療アプローチ:概念実証試験の成功」
という、リコード法で治療した患者さんの治療効果の論文が発表されました。(これはプレリリースであり、査読はされていません。)
内容はモントリオール認知評価(MoCA)の点数が19以上のアルツハイマー病または軽度認知障害の患者さん25名(45~76歳)を対象に、リコード法の治療を9ヶ月間行ったところ、
MoCAスコア、CNS Vital Signs Neurocognitive Index、AQ21において統計的に非常に有意な改善が認められた。(重篤な有害事象は認められなかった。)というものです。
当然患者さんの人数が少ないため、もっと大規模な研究が望まれることに異論はありませんが、
これまでの標準医療の常識としては、MCIやアルツハイマー病に有効な治療法はなく、
最近の他の臨床試験でも、認知機能の改善や低下の阻止というよりも、認知機能の低下を遅らせることができれば、すごく良い結果が出た、ということになっています。
それがリコード法の研究では認知機能低下の速度を遅らせるだけでなく、認知機能の改善が認められた、というのですから本当にスゴいことです。
リコード法と他の薬物療法などの治療法との違いは、一言でいうと
個々の患者の根本的な原因を追求したり、その原因に対処するのか(リコード法)、
それとも単一の非個別化された薬を、原因の違いに関わらず盲目的に使うのか、しかもその薬はアルツハイマー病の原因というより、βアミロイドを除去するというような下流の症状を治療するものであるか、という違いです。
一般に、アルツハイマー病の原因には色々な説があり、
- 「3型糖尿病」であるという説
- ヘルペス菌の慢性感染が原因であるという説
- アミロイドβが原因であるという説
- タウなどのミスフォールドタンパク質が原因であるという説
- プリオンが原因であるという説
など、数多くの説があり、いずれも効果的な治療法には至っていないのです。
これはもうお判りだと思いますが、これらの様々な原因となりうる要素がその患者さんごとに異なる割合で組み合わさって病気が発症しているためで、
原因が一つではないことが原因です。
そのため「この薬を飲めばアルツハイマー病が治ります」という魔法の薬は永遠にできません。
その患者さんごとに違う原因を適切に改善して行くことこそが、唯一の治療法です。
次回はもう少し詳しく、この論文ではどのようにリコード法を行っていたかご紹介します。
この論文では認知症の症状が改善しているわけですから、この方法でリコード法を行えば症状の改善が期待できる、ということです。
リコード法を実践されている皆様、ご自身が実践されているリコード法と比べてみてください。