夜間頻尿でお困りではないですか?

夜に何回もトイレに起きてしまい、なかなかぐっすり眠ることができない、というお悩みがありますか?

多くの方は、年のせいだと諦めていたり、

そもそも治療できるということも知らないかもしれません。

 

実は私の祖母も、長年、夜に頻回にトイレに起きてしまい、

どうもよく眠った気がしない1人でした。

 

夜寝る前に飲み物をたくさん飲まないことや、

お酒は覚醒作用があるので飲まないこと、

ホルモン検査などもしましたが、なかなか良くなりませんでした。

(タバコも吸っていません。タバコも睡眠を害します)

 

そんな祖母ですが、睡眠時無呼吸症候群の治療を受け、

治療を始めてしばらくすると、それまでなかなか良くならなかった夜間頻尿が改善したのです!!!

 

加齢は睡眠時無呼吸のリスクを高め、

睡眠時無呼吸は生活の質を劇的に落とし、また心臓病や高血圧、糖尿病などの病気を引き起こすため、

最近特に夜間頻尿がひどいな、という方は要注意です。

 

今回は、そんな夜間頻尿についてよくまとまっているWebページから、

主に夜間頻尿と、その主な原因となっている睡眠時無呼吸症候群、

それらに関連する病気についてまとめます。

 

元サイトはこちら

Underlying Conditions of Sleep Disruption in the Age of COVID-19

まず、夜寝る前に飲み物を飲みすぎないことや、

アルコールやタバコを控えることができている場合、その次のステップとしては、

①栄養介入

・デンプンと赤身の肉を減らし、多価不飽和脂肪と野菜を増やす

②前立腺肥大(BPH)があればその改善 (男性の場合)

・メタボリックシンドロームはBPHを悪化させるので、その治療
・下部尿路症状およびBPHの患者さんによく見られる勃起障害があるか

を考慮します。

 

これらが解決してもまだトイレに起きてしまう!という場合に、

睡眠時無呼吸症候群がないかチェックします。

 

睡眠時無呼吸が頻尿を起こす理由は、抗利尿ホルモンという

排尿を促すホルモンの産生を変化させるためです。1.2

 

睡眠時無呼吸と夜間頻尿の関係は非常に強いため、

World Journal of Urologyの記事では「夜間頻尿を訴える患者では閉塞性睡眠時無呼吸症候群を常にスクリーニングすべきである」と書かれています3。

 

また、閉塞性睡眠時無呼吸があると、86%で高血圧、59%で糖尿病、80%で夜間頻尿などの睡眠障害があると報告されていたり、

睡眠時無呼吸を治療することで、高血圧が改善したりします4,5,6。

(高血圧自体も、夜間頻尿を起こすので、

高血圧→夜間頻尿→さらに高血圧が悪化という悪循環になってしまいます。)

 

また女性では、閉経時にホルモン補充療法をしないことにより、睡眠時無呼吸7および睡眠障害の可能性が劇的に増加しますが8.9、

男性ではもっと悪いことに、高齢の男性では睡眠時無呼吸がある人がなんと90%と報告されています10。

 

ある泌尿器科クリニックでは、夜間頻尿の患者の90%が睡眠時無呼吸を示し、

睡眠時無呼吸の治療であるCPAPをすることで、

他の治療では治らなかった患者の夜間頻尿が大幅に減少したということです。

 

またメタボリックシンドロームと糖尿病を改善することも重要です。

 

メタボリックシンドロームは、睡眠時無呼吸や高血圧と相関し、夜間頻尿のリスクを2倍に上げます11。

 

2型糖尿では、高いインスリン値がレニン-アンギオテンシン、アルドステロン系を変化させ、高血圧を引き起こしたり、

交感神経系を変えることで、BPHを悪化させる可能性があります12。

したがって、インスリンを上げにくい、健康的な食事へ移行することで、BPHや高血圧も一緒に改善させることができる可能性があるのです。

 

 

まとめ:

・夜間頻尿は多くの患者さんに影響を及ぼし、様々な健康への悪影響を引き起こします。
・夜間頻尿がある場合、その原因を検査するスクリーニングは不可欠です。
・夜間頻尿を改善すると、生活の質やその他の健康症状を劇的に改善できます。

 

 

References:

  1. Ichioka M, Hirata Y, Inase N, et al. Changes of circulating atrial natriuretic peptide and antidiuretic hormone in obstructive sleep apnea syndrome. Respiration. 1992;59(3):164-168. doi:10.1159/000196049
  2. Yue Z, Wang M, Xu W, Li H, Wang H. Secretion of antidiuretic hormone in children with obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome. Acta Otolaryngol. 2009;129(8):867-871. doi:10.1080/00016480802441762
  3. Misraï V, Charbonneau H, Attias D, Pathak A. Obstructive sleep apnea syndrome should always be screened in patients complaining of nocturia. World J Urol. Published online October 22, 2018. doi:10.1007/s00345-018-2534-x
  4. Chung MS, Chuang YC, Lee JJ, Lee WC, Chancellor MB, Liu RT. Prevalence and associated risk factors of nocturia and subsequent mortality in 1,301 patients with type 2 diabetes. Int Urol Nephrol. 2014;46(7):1269-1275. doi:10.1007/s11255-014-0669-2
  5. Juul KV, Jessen N, Bliwise DL, van der Meulen E, Nørgaard JP. Delaying time to first nocturnal void may have beneficial effects on reducing blood glucose levels. Endocrine. 2016;53(3):722-729. doi:10.1007/s12020-016-0920-y  
  6. Aoki Y, Yokoyama O. Metabolic syndrome and nocturia. Low Urin Tract Symptoms. 2012;4(Suppl 1):11-15. doi:10.1111/j.1757-5672.2011.00118.x
  7. Bixler EO, Vgontzas AN, Lin HM, et al. Prevalence of sleep-disordered breathing in women: effects of gender. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163(3 Pt 1):608-613. doi:10.1164/ajrccm.163.3.9911064
  8. Anttalainen U, Saaresranta T, Aittokallio J, Kalleinen N, Vahlberg T, Virtanen I, Polo O. Impact of menopause on the manifestation and severity of sleep-disordered breathing. Acta Obstet Gynecol Scand. 2006;85(11):1381-1388. doi:10.1080/00016340600935649
  9. Baker FC, Lampio L, Saaresranta T, Polo-Kantola P. Sleep and sleep disorders in the menopausal transition. Sleep Med Clin. 2018;13(3):443-456. doi:10.1016/j.jsmc.2018.04.011
  10. Senaratna CV, Perret JL, Lodge CJ, et al. Prevalence of obstructive sleep apnea in the general population: a systematic review. Sleep Med Rev. 2017;34:70-81. doi:10.1016/j.smrv.2016.07.002
  11. De Nunzio C, Brassetti A, Proietti F, Deroma M, Esperto F, Tubaro A. Metabolic syndrome and smoking are associated with an increased risk of nocturia in male patients with benign prostatic enlargement. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2018;21(2):287-292. doi:10.1038/s41391-017-0003-z
  12. Kopp W. Diet-induced hyperinsulinemia as a key factor in the etiology of both benign prostatic hyperplasia and essential hypertension? Nutr Metab Insights. 2018;11:1178638818773072. doi:10.1177/1178638818773072