サクセンダ(GLP1受容体作動薬)は体に悪い?体に良い?

 

当院で先日からお取り扱いを始めましたサクセンダという肥満治療薬の注射薬がございます。

こちらの成分であるリラグルチドは、お食事をとると小腸などの腸管から分泌され、膵(すい)臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促したりβ細胞の増殖を促したりする膵臓を助ける働きや、食欲を抑制する働きがあるホルモンの類似物質になります。

日本ではビクトーザとして糖尿病薬、欧米や韓国では肥満治療薬として使用されています。

 

とても効果のあるペプチド薬であることから、サクセンダを使用すると

なかなか体重を落とすことが難しかった肥満治療も、スムーズに進むということでとても人気があります。

 

またサクセンダ治療で、肥満が改善するだけでなく、γGTPやコレステロール、中性脂肪の改善、高血圧などの生活習慣病が改善することから、次世代のアンチエイジングのお薬としても注目されています。

サクセンダ(GLP1)

 

さて今回のテーマは下の記事にあるような、サクセンダを健康な人に処方するなんてけしからん!という話題についてです。

https://www.asahi.com/articles/ASN6K6QPFN6KULBJ00L.html

 

もちろん【健康】な人に使用する必要は、いくら副作用がとても少ない、

生体類似性が97%ととても高いお薬であると言っても、ないでしょう。

 

ダイエットをしたい人は、お食事を減らしたり、運動をたくさんして痩せれば良いと言えばそこまでです。

もちろん高血圧や中性脂肪が高い、脂肪肝などで肝臓の数値が高い方など、生活習慣病の方についても同じです。

 

特別な高血圧でない限り、多くの一般的な高血圧の方は、食事を改善して糖質を減らし、運動をたくさんすれば高血圧は改善します。

でもそれができる人が、高血圧を持病に持っている人の中でどれだけいるでしょうか。

多く見積もって10%ほどではないでしょうか。

運動と食事の制限がなかなか難しいため、高血圧のお薬を飲み続けている、という人も実際とても多いと思います。

 

また【健康】とはなんでしょうか。健康診断で「異常なし」でないことでしょうか。

私は健康とは、厳密に言うなら「私たちが目指すべき健康」とは、体の状態が最適化していることだと思います。

健康診断で異常なし、でも、もっと言ったら、検査値に異常はあるけれども経過観察でOK、でもお身体はもっと健康になる余地があるのですからそれは目指すべき健康ではないはずです。

お身体が最高に健康になれば、頭は冴え、体の疲労感もなく、とても生き生きとした生活を送ることができます。そんな健康を目指すべきです。

 

少し話が逸れましたが、そう言う訳で一般の健康とされている人の中に、生活習慣病予備軍の人がどれだけいるか、と言うことが問題です。

そのような方が、一定期間サクセンダを使用し、将来の生活習慣病を予防することは、とても意味のあることなのではないかと思います。

 

サクセンダで痩せることは事実です。今ある肥満治療薬の中で、最も効果があると言っても言い過ぎではないと思います。

さすがペプチド薬、と言う感じです。

サクセンダを使用することによって慢性的なカロリーカットが期待できるので、

カロリーカットによる老化予防、健康長寿の効果が期待できることは明らかです。

それは将来の生活習慣病を予防することと大きく関わっていると思います。

 

またサクセンダにはほとんど副作用がありません。

他の「治療」と称して抵抗なく長期的に漫然と使われている、様々なお薬(スタチンやPPIなど)よりよほど安全です。

(サクセンダで健康被害が出た事例は報告されていません。)

 

さてサクセンダの安全性や、使用にまつわる倫理についてご説明いたしました。

サクセンダがいくら安全でアンチエイジング効果が期待でき、副作用が少ないと言っても、明らかに痩せすぎに分類させる(BMI18.5未満)の方には、処方できませんので、診察時には、BMIを確認させていただきますことをご了承くださいませ。

 

また当たり前のことと思われるかもしれませんが、サクセンダを使用している期間も、食事のバランスには気をつけて、運動も取り入れていただくと良いです。